美しい絵画や芸術品といった作品を見ていると、心の奥底に眠っている愛やスピリチュアリティーを呼び起こされる気持ちになりますが、
その作品に込められた想いや人となり、感性や生き様に触れたとき、
より一層作品のひとつひとつに深い魅力を感じます。
御年99歳の影絵作家、藤城清治さん。
藤城清治さんのプロフィール
1924年東京に生まれる。
12歳から油絵を始め、独立美術協会展、新制作派展に入選。
慶應義塾大学経済学部卒業後、名編集者の花森安治に認められ、雑誌「暮しの手帖」に影絵を連載。テレビ、影絵、国内外での展覧会の開催など多彩な活動を続ける。
1983年には『銀河鉄道の夜』で、ブラチスラヴァ国際絵本原画コンクール・金のりんご賞を受賞。ほかに紫綬褒章、勲四等朝日小綬章、日本児童文芸家協会児童文化功労者など、多数の叙勲、受賞歴がある。
近著に『光と影の詩人-藤城清治の世界』(平凡社)、『藤城清治作品集』(美術出版社)など多数。DVDに『銀河鉄道の夜』『ケロヨンのぼうけん』などがある。
藤城さんの作品は、宮沢賢治さんの作品「風の又三郎」や「銀河鉄道の夜」、「セロ弾きのゴーシュ」の挿絵にも起用されていますので、その表紙には見覚えのある方も多いのではないでしょうか。
藤城さんの作品は、その多彩な色遣いと、色を引き立てる黒色の影絵のコントラストが織りなす独創的な世界観が魅力。
さらにその作品からも伝わるように、生命や自然への愛に溢れた方なのです。
地球を愛する藤城さんのメッセージ
藤城さんよりステキなコメントを見つけましたのでご紹介します。
この地球は、人間だけが住んでいる世界ではない。
樹が繁り、美しい花が咲き、果実が実り、
動物も鳥も魚も昆虫もみんな生きている。
そして、光があり、空気があり、水がある。地球はこんなにすばらしいんだ。
ぼく自身の光と影に取り組んでいる永遠のテーマに通じるものでもある。(省略)ほんとに、地球上のあらゆる生命あるものが、なかよく交流しあって生きるよろこびを
満喫できる世界になりたいと思う。
夕日が海の向こうに沈んでゆくときは、
この世界で一番美しい瞬間だと思う。
ほんとうに光と影の極致だといっていような気がする。夕日が沈んでゆく海をじっと眺めていると、
海の底に人魚がいるかも知れないと思ったりする。
アンデルセンの人魚姫はぼくの一番好きな童話だけれど、
メルヘンの世界でなくても、地球って、メルヘン以上にすてきな気がする。身近にいる猫でも犬でも小鳥でも魚でもなんて美しくてかわいらしいんだろう。
この地球はメルヘン以上にすてきで愛にあふれているんだ。
地球はメルヘン以上だ。夢があふれているんだという気持ちをいっぱい出したくて、わくわくして描いたら
こんな絵ができあがった。
ぼくの心の中からあふれ出た愛と夢の奇跡だ。
藤城さんのファンタジーな作品の数々は一目で惹きつけられるような、
引力とも言えるほどの魅力がありますが、それは作品の裏に本来私たちみんながもっている、溢れるほどの地球の同胞たちへの愛と優しさがあるからなんですね。
作品や文章は、その人の中にあるものから生まれないもの。
いつまでも綺麗で純粋な心を持ち続けている藤城さんの作品は、言葉はなくともわたしたちの心に優しい気持ちを思い起こさせてくれます。
藤城さんは来年100歳!!
藤城さんは、来年2024年4月17日で御年100歳を迎えられます。
最後に、猫が大好きな藤城さんと愛猫のラビちゃんのほっこり動画をどうぞ。
関連リンク:藤城清治美術館