愛知県豊橋市に住む、当時小学6年生だった谷山千華さんが、2012年に書いた作文、「78円の命」。
「78円」とは、動物の処分1匹につきかかる金額。
猫の殺処分についての現実を小学生の素直な感性で描いた作文は、豊橋市の話し方大会で最優秀作品に選ばれ、その後同市の道徳の授業で扱われるなど、多くの人の目に触れる作品になりました。
捨て猫との出会い
小学6年生の谷山さんは、近所で真っ黒な捨て猫に出会います。
子猫だったキキは大きくなり、子猫を産みました。
ですがある日、谷山さんはその子猫が保健所に連れて行かれたことを近所のおばさんから聞きます。
保健所のことを知らなかった谷山さんは、同級生から、保健所が動物たちを殺処分する場所であることを知ったのです。
殺されちゃうという言葉がみょうに心にひっかかり、授業中も保健所の事で頭がいっぱいだった。
走って家に帰ると、急いでパソコンの前に座った。『保健所』で検索するとそこには想像もできないざんこくなことがたくさんのっていた。
飼い主から見捨てられた動物は日付ごとにおりに入れられ、そこで3日の間、飼い主をひたすら待ち続けるのだ。
そして飼い主が見つからなかった時には、死が待っている。10匹単位で小さな穴に押し込められ、二酸化炭素が送り込まれる。
数分もがき、苦しみ、死んだ後はごみのようにすぐに焼かれてしまうのだ。動物の処分1匹につき78円。
動物の命の価値がたったの78円でしかないように思えて胸が張りさけそうになった。
そして、とても怖くなった。残念ながら、友達の話は本当だった。調べなければ良かったと後悔した。
~「78円の命」より~
この作文から3年たった現在でも、日本では1年に20万匹以上の犬猫が、保健所で殺処分されています。
この作品を通じ共鳴したメンバーが集まり立ち上がったのが、『78円の命プロジェクト』。
プロジェクトには、フォトグラファーのKay N(ケイN)さん、アートディレクターの新村夏絵さん、イラストレーターの佐伯ゆう子さんらが集結。
同プロジェクトにて、この作文を絵本にするためのクラウドファンディングを立ち上げ、目標金額¥1,000,000を大きく上回る¥1,962,900が集まっています。
プロジェクトメンバーよりメッセージ
みなさまのおかげで、開始から約1週間にして第一目標(100万円)、第二目標(150万円)を達成することができました。本当にありがとうございます。
同プロジェクトでは、絵本だけでなく、ポスター、リーフレットも同時に制作をしていく予定です。
当初の目標金額では移動費などの経費や、その他の制作物の印刷代を差し引くと、絵本の冊数は数百部程度を予定しておりましたが、みなさまのご支援のおかげで部数を増やすことができそうです。
さらに部数を確保するために、第三目標として250万円という金額を設定いたしました。
第二目標で掲げた、地域猫やTNR活動のこと、動物を飼う前にもう一度考えてもらいたいことなど、絵本を読んだあとに続くページの制作に加え、絵本の冊数を大幅に増やすことができそうです。
まだまだこのプロジェクトをより多くの方々に知っていただくためにも、3月31日まで継続して実施いたしますので、引き続き応援並びに情報のシェアをご協力いただけますと幸いです。
作者谷山さんの出身地である愛知県豊橋市では、現在、道徳の授業の教材として『78円の命』が使用されています。
2020年からは、愛知県内全域の道徳の授業で使う副教材に掲載されることも決定しました。
このプロジェクトが全国規模で展開されていけば、学校教育の一環として殺処分問題が取り上げてもらえる可能性が広がります。
ぜひみなさまのご協力をお願いいたします。
■掲載画像出典、プロジェクト詳細:
小学6年生の少女が動物殺処分について真正面から向き合った作文を絵本化したい!『78円の命プロジェクト』