カリフォルニア州オークランドのCounter Culture Labsおよびカリフォルニア州サニーベールのBioCuriousに所属するバイオハッカーたちが、パン用イーストを用いて牛のお乳を使うことなく完全なるヴィーガンチーズを作ることに世界で初めて成功したとのニュースが入りました♪
◆原文はこちら
Real Cheese From A Lab, No Cow Necessary | TechCrunch
菜食主義者でも、芳醇なチーズの味を恋しく感じる人も多いかもしれません。
これまでにもベジタリアン向けのチーズと称するものはありましたが、それらは大豆やナッツ類を加工したもので、やはり本物のチーズとは程遠い味でした。
しかし科学の力で、ヴィーガンなど厳格な菜食主義者でも、本物そっくりのチーズを楽しめるようになったのです!
◆字幕なしですが動画のほうもどうぞ♪
いったい、どのような方法でチーズの開発に成功したのでしょうか。
San Francisco Bay Area iGEM Teamと称するチームは、哺乳動物の遺伝子配列を解析することで、イーストの中に同様の遺伝子配列を再現し、チーズの生成を試みました。
ちなみにこの過程で、動物を用いることはありません。
チームの科学者たちは、動物の遺伝子を用いるのではなく、同じ遺伝子配列を実験室にてゼロから作り上げることに成功したのです。
こうして作り出した遺伝子のパーツをイーストの中に埋め込み、そして乳タンパクと等価となるものを生み出したのです。
さらには、動物の遺伝子配列を「人間」のものと置き換える実験も行なっているとのこと。
これは人間由来の乳タンパクを利用することで、牛のミルクを体内に入れるよりも健康の面から安全なのではないかという発想に基づくもので、これによってアレルギー誘発物質を減らすことができるのではないかと考えているそう。
(牛由来の乳成分を摂取することで粘膜に障害を起こしたり、ラクトースの分解がうまくできない人もいます。)
従来のように酷い環境で牛を育てる必要もなく、ホルモンや抗生物質などが全く入っていないチーズを作ることができるのですね!
こうしてチーズを生み出すのは非常にコストがかかるため、科学者たちは支援をあおぐために現在Indiegogoキャンペーンを行っています。
目標額は1万5000ドルだったのですが、幸運にもこのゴールは2週間もたたないうちに達成されました。
このプロジェクトを推進するボランティアグループは、チーズ生成のためのパン用イーストについて4種類のバリエーションを生み出そうとしているそう。
研究成果はすべて公開ウィキに発表されるようです。
長い道のりがありますが、彼らの最終目標はこれら生み出したチーズを市場に送り出すこと。
グループメンバーのCraig Rouskeyは、まずは実用性があることを示すところから始めていく必要があり、そして大量生産を行う方法を見つけ出す必要があると述べています。
さらにはFDAによる認可も必要になってきます。
Indiegogoのキャンペーンは8月末に完了の予定です。
INDIEGOGOキャンペーンReal Vegan Cheese!のページ
遺伝子の操作をすることに関しては賛否両論があることと思います。
長期的な健康被害もないとは言い切れないでしょうし、個人的にはここまでして本物に近いものを食べなくていいかなぁというのが本音ですが(大豆やナッツでできたチーズもかなり本物に近くできていて満足できていますし^^)
大豆から生まれた植物性のチーズ動物原料&乳製品不使用ヴィーガン・ベジタリアン チェダーチー…
環境負荷を考えると畜産はエネルギー効率が悪く持続不可能だと言われていますし、動物福祉の面や健康面からも、乳製品の産業は社会問題のひとつになっていますよね。
環境問題、動物福祉問題への働きかけという面では、こうして開発にあたってくださった科学者の方々へ感謝したいと思います。